2018/04/13 15:04

このたびイギリスで行われた国際マーマレードアワード2018( https://www.dalemain.com/marmalade-awards/   )において朗-Rou-の『橙マーマレード』と『鬼ゆずマーマレード』のふたつが金賞、『橙と甘平のマーマレードとヴァローナチョコレート』が銅賞を受賞しました。
金賞受賞の知らせと授賞式への招待状が届き、3月イギリスへ行ってまいりました。


マーマレードアワード&フェスティバルが開催されたのはロンドンから特急列車で約3時間ほど行った自然が豊かな湖水地方カンブリア州のペンリスという街。フェスティバル中は街がオレンジ色に染まり、本屋さんも花屋さんもみんなショーウィンドウが可愛く飾り付けされフェスティバルを楽しむ人たちでとても賑やかになります。
このアワード&フェスティバルはダルメインの館12代目当主のジェーン・ヘイゼル・マーコッシュさんがお屋敷に代々伝わる秘伝のレシピを見つけたことがきっかけで行われるようになったそうです。
授賞式はジェーンさんのお住まいでもあるダルメインの館で行われました。



昔から冬の季節になるとマーマレードを手作りする風習があるほどマーマレード好きなイギリスで2006年からはじまったこのアワードは今年で13回目。年々熱を帯び世界各地から去年よりもさらに多い3000以上のエントリーがあったそうです。それらのマーマレードたちがジョージア時代の堂々たるお屋敷の中にずらりと並んだ姿は圧巻。その中にはもちろん私のマーマレードも。
「アマチュア部門」には「80歳以上のマーマレード」や「子供たちのマーマレード」のカテゴリーもあり、伝統的な味、受け継がれている味があるということは素晴らしく、小さな手で作られたマーマレードの手描きラベルの可愛さに思わずにっこり。
私がエントリーしたのは「Artisan(職人)部門」で、それらを審査するのは食のジャーナリストや有名シェフ、パティシエ、フォートナム・メイソンのヘッドバイヤー、ジャム専門家など食品業界のエキスパートの方々。二日間泊まり込んで缶詰め状態で審査に集中されるのだそうです。ラベルや名前がわからないように行うブラインド審査となっており公平に審査されます。ひとつひとつ味見をして、テイスティングシートに味、香り、濃度、色、見た目などそれぞれにコメントと点数がつけられ、改善点も書き添えられます。これは入賞するしないにかかわらず必ずエントリーした人のもとへ届けられるのですが、私のマーマレードがどう感じていただけるかとても楽しみにしていました。少数精鋭のエキスパートの方々に審査されたテイスティングシートには「A fabulous marmalade!(とてもすばらしいマーマレード!)」「Excellent!(すばらしい!)」や「明るく澄んだ色でピールのカットが美しい」などが書かれてあり表彰状とともに私の大切な宝物になりました。


今回金賞を受賞した『橙マーマレード』と『鬼ゆずマーマレード』は柑橘そのものをシンプルに見つめて作りました。

↑こちらの写真はカメラマンの石川正美さんに撮って頂きました。



作るきっかけとなったのは自然栽培(無農薬・無堆肥)の鬼ゆずをいただいたことから…。
私は昨年末 ブックカフェをはじめる友人とひとつの店舗をシェアしてジャムの製作をはじめました。はじめて間もない頃、その友人のお義姉さんご夫婦(西条市・飯尾さん)が私たちを驚かせようと赤ちゃんの頭ほど大きい鬼ゆずを大きなスーツケースにたくさん詰めて持ってきてくれたのでした。(スーツケースって!笑)
鬼ゆずの皮を擦ると香りがとても良く、ちょっと調べてみると縁起物のお飾りだと思っていた鬼ゆずが美味しいマーマレードの素材になるとわかりびっくり。お義姉さんご夫婦も私たちも顔を見合わせて驚いたのがはじめてこの柑橘に出会った瞬間でした。
後日「鬼ゆずがマーマレードになるのならもしかして橙もなる?無農薬の橙もあるよ」と仰ってくださり、それも分けて頂くことに。
鬼ゆずは明るい黄色のとても爽やかな香りをもつ皮やワタを楽しむマーマレードに。
橙はほろ苦さを残した皮と甘酸っぱいゼリーを合わせたマーマレードに。
どちらもシンプルながら柑橘の個性を発揮したマーマレードにできあがりました。
あたらしい場所で製作をはじめて、つながるご縁から 
はじめて知る素材にふれ、はじめての美味しさを知ることができたはじまりのマーマレードです。
こうした人との出会いも私のジャム作りにとって大切な宝物なのです。



橙や鬼ゆずだけでなく私のジャムとなる素材を作ってくださっている農家さん、いつもありがとうございます。
今回アワードへのエントリーからずっと翻訳でお世話になったMさんと、Rouジャムのお隣さんでありいつも励ましてくれたCさん、支えてくれている夫や家族にも心からのありがとうを。
そして、いちばん感謝の気持ちをお伝えしたいのは、これまでRouジャムをお買い上げくださったお客様です。本当にありがとうございます。

これからも体がよろこび、心が朗らかになるようなジャムを作っていきたいと思っています。
たったひと匙のジャムでも誰かの心を明るくすることができると信じて。

2018年4月吉日

●この大会へのエントリーフィー(参加費)は世界中の緩和ケアに寄付されます。今年の主要寄付先はHome Carlisle & North Lakeland ホスピスで、アワードは世界中の緩和ケアに対し、これまで220.000£以上の寄付を集めてきたそうです。

●入賞した3種のマーマレードは受賞の知らせがあるまで普段と変わりなく販売しておりましたため、在庫が大変少なく、またその柑橘の時期を過ぎていたため新たに作ることができませんでした。
5月に予定しております通販でわずかではありますが販売いたしますので、もうしばらくお待ちくださいませ。